おやすみ、可愛い人。

 羨ましいと思ったことは、何度もあった。
 私には無いものを、彼女はいくつも持っていた。


 長く綺麗な髪
 深みのある目
 透き通る声
 細く白い体


 全てが私にとっては宝物で、でも彼女はそれに対して首を横に振った。


「りいは、可愛いよ」


 そんなことない。はぐの方が、私なんかより。
 ――「なんか」って言うと、怒るんだっけ。
 思って、思わず笑って、するとりいは頭を揺らした。


「どうしたの?」
「ううん、別に、なんでもない」


 揺れる頭が、私の頬をくすぐる。
 髪を撫でるふりをして、私が寝やすい状態に髪を纏めてあげると、りいは気付いているのかいないのか、目を細めて息を吐いた。


「寝よっか」


 そう言って、私たちは一糸纏わぬ体を寄せ合う。
 暑くも、寒くも無い。
 りいの足は、ちょっと冷たくて、気持ちよかった。


「おやすみ。私の可愛い人」
「うん、おやすみ。私より可愛い人」


 五分後にはもう、寝息が聞こえていた。