とある真夏日

「……寒い」
「でも、止めると暑いんだよねえ」


 俺の部屋の隅っこに設置されているクーラーを眺めながら、ユキはのんびりと呟いた。


「っていうか、いつまで此処にいるんだよっ!」
「んぅ? いつまでいよっかなあ」


 年頃の女の子が、年頃の俺の部屋にいて、落ち着かない。そんな日々が、もう何日も続いている。


「だってうちのクーラー壊れてるし、ミキの部屋は涼しいし」
「他にも涼しい場所はあるだろ!」


 似たような名前を付けられた俺達は、昔から家族のような関係で、どうもユキは俺に対して異性という考えがないようで。


「んー、ここが一番落ち着くもん」


 外の気温が上がるたびに薄着になっていくユキを直視できないまま、またのんびりと呟いた声を聞く。


「だからってその恰好は……」
「ミキが帰れって言ったら、帰るね?」


 へへ、と息を漏らしたユキは、俺を見て笑う。
 そしてまた俺は、赤面しながら口を閉じるしかできなかった。