まほう【魔法】
意味や解説。人間の力ではなしえない不思議なことを行う術。
「ほう……」
ゆう‐れい【幽霊】
死後さまよっている霊魂。恨みや未練を訴えるために、この世に姿を現すとされるもの。亡霊。
「……ですよねー」
二つの言葉を調べ終えたサナはパタリと分厚い辞書を閉じて、騒がしい図書室の隅、辞書が元々あった場所へ返しに行く。
《辞書って、わかりきったことしか書いてないもんだよね》
視界の隅に浮かぶ半透明な人影は、くつくつと笑いながらそう言った。
「あんたのこと調べようとしたんでしょうが」
どうやらサナにしか見えていないらしい半透明、リョウは、数日前に事故で亡くなった幼なじみ。彼の葬儀にも出たし、骨も拾った。良い顔をして逝ったのを覚えている。
《だから、サナになんかする気なんてないから安心しろって。俺だって気付いたらここにいただけなんだから。》
ぶつくさ言いながら、図書室を出るサナに着いていくリョウ。それを、少し疎ましげに目だけで見上げるサナ。
「早く成仏しなさいよね」
《できるならしてるよ》
言い合いは、生前と何も変わらなかった。