≪言いたいことが言えないなら、≫
キーを叩く音が、いつもより大きい。
≪もうこんな世界、要らない。≫
エンターキーを、いつもより大きく鳴らす。
打ち終わった文章を見ながら、もう用のないエンターキーを、入力されない程度の力でカチカチと叩く。爪で、カチカチ。
画面上で、次々と新しい言葉が生まれる。
何処に行った、
何を食べた、
仕事ヤバい、
眠たい、
生活に紛れた数文字の文字なんて、すぐに流れて、画面の外へ追いやられて。
「要らない、」
紅で染まったキーを眺めながら、
「いらない、」
と。